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うつ病を仕事しながら克服するにはどうしたらいい？【精神科医が徹底解説】

うつ病を「仕事しながら克服」するにはどうしたらいいか、精神科医が解説します。 #精神科 #うつ病 #仕事しながら克服 0:05 （１）はじめに 0:23 （２）うつ病と主な症状 1:20 （３）うつ病で「起き上がれない」その背景と影響 2:41 （４）「うつ病を仕事しながら克服する」ことの注意点等 4:38 （５）うつ病を仕事しながら克服するための工夫 5:01 ①受診と治療 6:16 ②休養の確保 7:25 ③環境調整 8:40 （６）まとめ うつ病を「仕事しながら克服」するにはどうしたらいいでしょうか？うつ病治療では本来は「休養」が大事で、治療上は「休職」して専念することが望まれます。ただし軽度の場合など一定の状況の下で、様々な工夫をすることで「仕事しながら克服」することを模索する場合があります。 ご質問「うつ病を仕事しながら克服するにはどうしたらいい？」について、精神科医が9.5分で回答しています。 出演：春日雄一郎（精神科医、医療法人社団Heart　Station理事長） こころ診療所吉祥寺駅前　https://kokoro-kichijoji.com 府中こころ診療所　https://fuchu-kokoro.com 府中カウンセリングルーム（提携カウンセリングルーム）https://fuchu-counseling.com チャンネル登録お願いします　   / こころ診療所チャンネル   ↓詳しい内容はこちらです。 （１）はじめに 「うつ病を仕事しながら克服するにはどうしたらいい？」というご質問にお答えします。結論としては、様々に工夫しながら対策することが大切ですが、それでも困難な場合は休職を検討する必要があります。 うつ病の治療では休養が重要な要素を占めており、本来は休職して療養に専念することが治療上は望ましいとされています。しかし、経済面の影響などを考えると、仕事を続けながら克服したいという声も少なくありません。比較的軽症の場合は仕事をしながらの克服も可能ですが、治療効果が得られない場合は速やかに休職への移行が必要です。 （２）うつ病と主な症状 まず、うつ病について振り返ってみましょう。うつ病は落ち込みなどの症状が続く脳の不調で、主に脳内物質セロトニンの不足が背景にあるとされています。 うつ病の主な症状 *こころの症状* 落ち込みや罪悪感に加えて、思考力など脳機能の低下が現れることがあります。 *からだの症状* 不眠や疲れやすさのほか、吐き気など各種の自律神経症状が出ることがあります。 *行動の変化* 人を避けたりイライラしやすくなるなど、外から目立ちやすい変化が現れます。 うつ病の主な治療 *休養* ストレスから離れて頭をしっかり休ませます。働いている方の場合、休職して行うことが多いです。 *薬物療法* 主に抗うつ薬SSRIを継続します。必要に応じて睡眠薬などの補助薬を併用します。 *精神療法* ストレスへの対処法の見直しを行い、時には考え方の調整なども含まれます。 （３）うつ病で「休職」その背景と影響 うつ病の治療では、休養専念などの観点から休職して行うことが多いのが現状です。治療効果と再発予防の観点からは、いったんしっかり休んで十分改善した後の復帰が望まれます。ただし、生活面の問題などから休職での治療に葛藤が生じることも多くあります。 休職しての治療のメリット **しっかり休養できる**：改善するまで十分な期間休養し、十分な改善を図れます **ストレスから離れられる**：特に仕事のストレスから離れて悪化を防ぎ、徐々に改善を図れます **薬をしっかり使いやすい**：抗うつ薬などの初期の副作用の影響が少ない中で使用できます 休職しての治療のデメリット **経済的な影響**：傷病手当金制度による補償はありますが、収入面や生活への影響は否定できません **会社での立場への影響**：会社によって異なりますが、キャリア等への影響は無視できない面もあります **罪悪感などの影響**：自身で納得しない形での休職の場合、葛藤して考えすぎて逆効果になることもあります （４）「うつ病を仕事しながら克服する」ことの注意点等 うつ病は仕事をしながら克服できる場合もある一方で、困難な場合も少なくありません。治療の観点からは不利な点も多く、無理をして仕事に固執すると悪循環になる場合があります。状況を見極めて慎重に判断し、経過が思わしくなければ休職への切り替えが必要です。 仕事をしながらの克服を想定できる場合 **比較的軽症の場合**：仕事への影響が限定的で、悪化傾向もあまり目立たない場合 **仕事のストレスが少ない場合**：治療効果を打ち消すほどのストレスがないこと **判断力が保たれている場合**：経過をみて、不調であれば休職に移る判断が冷静にできること 仕事をしながらの克服が難しい場合 **症状が重い場合**：無理して働くことで病状の悪化や仕事のトラブルにつながる危険性 **仕事のストレスが大きい場合**：治療効果をストレスが打ち消してしまいます **判断が難しくなっている場合**：本来は休職すべき場面でも仕事に固執し、症状悪化やトラブルに至る危険性 仕事しながら克服を図る時の注意点 **治療の面では不利**：同じ治療でもストレスなどの点から効果が得にくくなります **悪化するなら休職へ**：ストレスが治療効果を上回る場合は、休職での対策が必要です **様々な工夫が必要**：不利な点を少しでもカバーするための様々な角度での工夫が求められます （５）うつ病を仕事しながら克服するための工夫 仕事をしながらの克服には、不利な点をカバーするための様々な角度での工夫が必要です。主な対策として「受診と治療」「休養の確保」「環境調整」の3つがあります。 ①受診と治療 働きながらのうつ病克服の大前提は、定期的な受診と治療の継続です。治療に関しては、休職の場合と比べると不利な点があることを理解しつつ対策していきます。受診では状態の観察も含め、仕事継続が可能かを定期的に見ながら治療していきます。 *仕事をしながらの治療で不利な点* **薬が効きにくい**：ストレスが効果を打ち消す面があり、多い量が必要になりやすい **副作用が目立ちやすい**：ストレスもある分副作用が目立ちやすく、だるさなどがあると欠勤につながることも **十分な休養が取れない**：少なくとも休職をした時のような休養専念は困難 *不利な点への対策* **十分な量の薬を使用**：ストレスがあっても改善を図るため、補助薬も含めて十分量が必要 **副作用を織り込む**：副作用が出やすいことをあらかじめ織り込んで、出ても割り切って対策 **できる範囲の休養の確保**：少しでも休養を確保して不利な部分を減らす ②休養の確保 仕事をしながらの場合、休職と比べると重要な十分な休養が確保できません。しかし、休養はうつ病治療の大事な要素であり、休養が十分できないと治療に大きく影響します。働きながらでもできる範囲で休養を十分に確保することが大切です。 *休養を確保するための方法* **休憩時間や仕事後の休養**：休憩時間にもしっかり休みを確保し、仕事後はリラックスして睡眠につなげる **土日での休養**：土日でしっかり休養することで、1週間の中で十分な休養を確保 **有給休暇の活用**：必要に応じて有給休暇を取得し、まとまった休養の確保を図る *ストレス対策は無理のない形で* ストレスもうつ病に影響するため、発散することが本来求められます。ただし、うつ病があると発散後の疲れにつながることもあり、時に逆効果になるリスクもあります。そのため、疲労に注意しながら無理のない形程度でのストレス対策が現実的です。 ③環境調整 仕事や家でのストレスや負担が大きいと、治療効果を打ち消して悪循環に至ってしまいます。仕事に関しては、上司とも相談して少しでも負担を減らすことを検討します。家でもやることを絞るなどして、少しでもストレスを減らして悪化を防ぐことが必要です。 *職場での環境調整* **業務量の調整**：量を減らす、苦手な業務を減らすなどの対策 **業務環境の調整**：苦手な相手とはチームを別にするなど、質的な面でのストレスを減らす **異動の検討**：今の場所のストレスが大きい場合は想定しますが、現実的にうまくいかないことも多い *家での環境調整* **やることを絞る**：家でのことは本当に必要なことだけに絞って、負担を減らす **工程を減らす**：総菜を活用して料理の手間を減らすなど、同じことをする上でも工程を減らして負担を軽減 **家族と相談**：可能な範囲でうつ病と対策について理解を得て、家事の分担などで対応を図る （６）まとめ うつ病の治療では休養が大事な要素を占めており、本来は休職をして療養に専念することが治療上は望まれます。比較的軽症な場合は仕事をしながら克服を図ることも可能ですが、治療しても悪化する場合は速やかに休職に移行する必要があります。 仕事をしながら克服を図る場合は、治療を土台に十分な休養の確保とストレスを減らす環境調整について、様々な角度で工夫しながら行っていくことが重要です。ただし、無理は禁物であり、状況を見極めながら慎重に進めていくことが大切です。 こころ診療所グループ（医療法人社団Heart　Station） 府中こころ診療所（東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887) こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル６階、☎0422-26-5695) #どうしたらいい 　#精神科医　 【監修者】 医療法人社団Heart　Station　理事長　府中こころ診療所院長　春日雄一郎 精神科医（精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医） 2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。